母の世話をすることになりまして。|橙式部

母の世話をすることになりまして。の見どころ

『母の世話をすることになりまして。』は、父親の蒸発をきっかけに精神を病んでしまった母と、その世話を続ける息子の日常を描いた作品です。フルカラー50ページ（表紙込み54枚）という大ボリュームで、親子の心の距離や、崩れていく家庭の姿を重厚に表現しています。

父親が経営していた会社が倒産し、家を去ってしまったことで、母は心を閉ざしてしまいます。食事や入浴などの日常動作も一人ではできなくなり、ただ座っているだけの状態に。

息子はアルバイトをしながら母の面倒を見続けますが、介護の大変さや孤独に心をすり減らしていきます。それでも「母に元気を取り戻してほしい」という想いから、日々の生活を支えていくのです。

介護をテーマにした物語性
　食事や入浴など、ごく当たり前の生活行為が描かれており、「家族の世話」と「自分の生活」の狭間で揺れる息子の葛藤がリアルに表現されています。
心理描写の細やかさ
　母を想う気持ちと、介護疲れから生まれる苛立ち。その相反する感情が丁寧に描かれ、読む者に重みを感じさせます。
フルカラーによる臨場感
　全ページフルカラーで構成されているため、シーンごとの空気感や母子の表情がより鮮明に伝わってきます。